プログラム・日程表

日程表
(5月13日時点)

文化講演

輝ける福井の歴史と人物-継体天皇・橋本左内を中心に-

演者 角鹿 尚計 福井県立大学客員教授・祈の宮 氣比神社宮司

特別講演

特別講演1
骨軟部腫瘍について考える

演者 内田 淳正 三重大学整形外科

特別講演2
患者個々のゲノム情報に基づく個別化がん免疫療法の開発

演者 清谷 一馬 医薬基盤・健康・栄養研究所 難病・免疫ゲノム研究プロジェクト

招待講演

招待講演1
Development of pharmacological inhibitors of the TAZ-YAP-TEAD Hippo Pathway

Speaker Brian Rubin Cleveland Clinic

招待講演2
Tumor microenvironment analysis in osteosarcoma predicts therapeutic response to chemotherapy

Speaker Anne Gomez-Mascard Institut Universitaire du Cancer de Toulouse

招待講演3
Surgery of the Pelvis: Lessons and reflections on pelvic tumour surgery - Experiences of a lifetime

Speaker Peter F. M. Choong Department of Surgery, University of Melbourne

招待講演4
Results of osteosarcoma treatment in KCCH

Speaker Wonseok Song Department of Orthopedic Surgery, Korea Cancer Center Hospital

招待講演5
Long term results of resections and reconstruction for bone tumors in children and adolescents

Speaker Eric Mascard University Hospital Necker

招待講演6
Review of yearly Experience in Mandaly Orthopaedic Hospital (Myanmar) including tumor like lesions and experience of Rotationplasty in lower limb

Speaker Aung Naing Department of Orthopaedics, University of Medicine Magway

シンポジウム

シンポジウム1.加速する骨軟部腫瘍に対するゲノム医療:現状と課題
がん遺伝子パネル検査が、標準治療がない固形がんや、局所進行もしくは転移があり標準治療が終了した固形がんの患者を対象に、2019年6月に公的医療保険の適用となり、肉腫においてもゲノム医療が現実のものとなった。しかし、肉腫の場合、現在のがん遺伝子パネル検査で遺伝子変異が見つかる頻度が少ないことが問題である。たとえヒットしたとしても、そのそも治療薬が存在しなかったり、肉腫に対して保険適応が無い場合が多く、その有用性は今のところ限定的である。しかし、がん遺伝子パネル検査の改良と、治療薬開発の進歩により、これらの課題は大いに改善されることが期待され、がん治療は未来に向かって進化を加速することが予想できる。本シンポジウムでは、現在の骨軟部腫瘍のゲノム解析の最先端の知見をお示し頂くと共に、ゲノム医療の現状と課題、そしてそれに対する解決策をディスカッションしたい。
シンポジウム2.診療科を超えて肉腫治療を考えるーその実際と課題―
当学術集会ではテーマを「ダイバーシティで進化する腫瘍の格致」としている。「格致」とは中国の古典「大学」にある「格物」「致知」から取り合わせた言葉で、「物事の道理や本質を深く追求し、理解して、知識や学問を深め得ること」を意味しており、幕末に開国論を主張し、大政奉還を実現させた幕末の福井藩主、松平春嶽公が愛した言葉である。骨・軟部腫瘍に関わる多くの課題を解決するためには、多くの診療科が協力することで、「腫瘍の格致」を進化させる必要があると考え、このシンポジウムを企画した。  肉腫はあらゆる部位に発生する可能性があることから肉腫治療に取り組んでいるのは整形外科だけではなく、少なくない症例が整形外科以外で治療されている。我々、整形外科医にとっても各診療科で行われている肉腫治療を知ることは、肉腫治療のブレークスルーに繋がる可能性があり、極めて重要である。当シンポジウムでは、整形外科、消化器外科、腫瘍内科、小児科、泌尿器科、婦人科において肉腫治療に取り組んでいる先生方にご登壇いただき、「各科の診療の実際と課題」をお話し頂きたい。さらに、各診療科にとってメインテーマに成りにくい肉腫という稀少疾患において、「積極的に肉腫治療に取り組む若手育成のポイント」などもディスカッションしたい。
シンポジウム3.骨転移治療の多変数関数を解く
近年、がんに対する集学的治療の進歩により、がん患者の生命予後が飛躍的に延長している。例えば、肺がんは、これまで予後が悪いと考えられていたが、治療薬の劇的な進歩により長期予後が望める症例も増加している。そのような状況の中で、四肢骨・脊椎転移の早期発見と積極的な治療介入が、患者のQOL改善に大きく寄与することは明らかである。しかし、限られた医療資源のなかでの早期発見は極めて困難である。また、骨転移が発見された際の、手術のタイミング、放射線治療との使い分けも明かな指針は無い。手術方法に関しても、大腿骨転子部の病変に対する治療法(内固定vs腫瘍用人工骨頭置換)、脊椎転移に対する固定の必要性の有無、など未解決な問題が多い。個々の症例の骨転移の最適な治療方法を見つけ出すことはまさに多変数関数を解くことに他ならない。当シンポジウムでは、多変数関数を解くためのポイントを明らかにし、ディスカッションしたい。
シンポジウム4.肉腫治療の次の一手
肉腫に対する新規治療薬が2012年以降次々と登場したが、既存の治療薬・治療戦略だけでは乗り越えられない壁が存在する。当シンポジウムでは、医師主導治験や臨床研究ですすんでいる先進的な治療研究をご紹介いただくとともに、未来への展望をディスカッションしたい。
シンポジウム5.進化するJCOG骨軟部腫瘍グループー20年を総括し、これからの20年を展望するー
悪性骨軟部腫瘍は他のがん種と比較して発生が稀であり、 しかも組織型が多岐にわたるため、限られた患者数の単一施設では新しい治療法の開発が極めて困難な疾患であり、骨軟部腫瘍に対する標準治療の確立のためには全国規模の多施設共同研究が不可欠である。そこで、2002年度からJapan Clinical Oncology Group(JCOG)内の1グループとして骨軟部腫瘍グループが立ち上がり、精力的な活動が行われてきた。現在、代表的な悪性骨腫瘍である骨肉腫および軟部肉腫を対象に標準治療の開発を目指した臨床試験を行うとともに、それらの附随研究が実施されており、世界に向けたエビデンスを発信するポテンシャルは海外でも高く評価されている。当シンポジウムでは、骨軟部腫瘍グループによる各研究担当者に研究目的、プロトコルをお示し頂いた上に、その研究成果を可能な範囲で公開して頂くと共に、今後の課題・展望についてJCOG統計家を交えて熱くディスカッションする。当シンポジウムが、骨・軟部腫瘍グループ創設から20年の多施設共同研究の歩みの総括となり、次の20年に向けた起爆剤となることを期待する。
シンポジウム6.小児・AYA世代の肉腫治療の現状と課題
小児・AYA世代の肉腫治療には成人の肉腫治療とは異なるアプローチが必要である。小児においては、体や心の成長に応じたアプローチが必要であり画一的な治療では対応できないことが多い。薬物療法や手術治療を考えるときには治療による長期的な合併症のことを常に考える必要がある。さらに、長期入院を強いられることが多いため、患者および家族には大きなストレスがかかることから、様々な支援体制も必要である。また、AYA世代に於いては、家族との関わりや就業、経済面、妊孕性など多岐にわたるサポートも欠かせない。このセッションでは小児・AYA世代の肉腫治療の現状と課題について、診療科・職種横断的に考えてみたい。
シンポジウム7.腫瘍用人工関節 感染予防と感染のおさめかた
悪性骨腫瘍切除後の骨欠損に対する腫瘍用人工関節による再建術は、現在では標準的治療となったと言っても過言ではない。しかしながら、5~10%の症例は術後感染を来すと報告されており、通常のTHAやTKAの実に10倍以上の頻度で感染が発生していることになる。骨軟部腫瘍の治療成績の向上を目指すのであれば、感染対策を考えずに腫瘍用人工関節手術を行うことは許されない。シンポジウムでは腫瘍用人工関節感染の実態と予防、治療法について熱くディスカッションしたい。
シンポジウム8.がんロコモ:患者のQOLを向上させる為にほんとうに大切なこと
がん治療におけるがんロコモ対策の重要性はあきらかである。運動器の専門科を自認する整形外科医は、がんロコモを正しく理解したうえに、積極的に取り組む必要がある。しかし、「いったい何をすれば良いのか?」具体的な方法が判らない整形外科医が多い。演者には「医療者が取り組むべきがんロコモ対策の実際」を職種横断的にお示しいただいた上に、その有用性・重要性を実例やデータを挙げながらディスカッションしたい。

パネルディスカッション

パネルディスカッション1.骨・軟部腫瘍の基礎研究の新展開
骨・軟部腫瘍のゲノムレベルでの解析がすすみ、治療薬の分子ターゲットとなる可能性がある様々な分子が同定されると同時に、細胞間のネットワークの全貌も少しずつ明らかになりつつある。当シンポジウムでは最新の基礎研究をご紹介頂くと共に、研究内容をベースにした臨床応用への展望をディスカッションしたい。
パネルディスカッション2.上腕骨悪性骨・軟部腫瘍に対する再建の工夫
上腕骨近位部は大腿骨遠位、脛骨近位、大腿骨近位に次ぐ悪性骨腫瘍の好発部位である。これまで様々な再建法が考案され一定の成績を上げてきたが、肩関節の機能回復は必ずしも十分ではなかった。近年、リバース型人工肩関節置換術が腫瘍切除後の再建に用いることが承認された。リバース型人工肩関節は高齢者の広範囲腱板断裂に対しては優れた治療成績が報告されているが、骨・軟部腫瘍に対しては、三角筋や腋窩神経の温存が必須となるため、同様の機能的予後が得られるのかどうかは不明である。当セッションでは、上腕骨近位部の様々な再建方法の工夫を示すと共に、リバース型人工肩関節の短期治療成績に関してもディスカッションしたい。
パネルディスカッション3.多職種から見た骨・軟部腫瘍治療の現状と課題
骨・軟部腫瘍の治療は医師だけでなく多くの職種が関与することによって成り立っている。高い治療効果を得るためには、がん治療に精通した看護師、リハビリテーションを担当する理学、作業療法士、薬剤のチェックや服薬指導をする薬剤師、緩和ケアスタッフ、在宅療養をオーガナイズするソーシャルワーカーなど、多くの職種のチームワークが不可欠であり、それぞれの立場から見た骨軟部腫瘍治療の現状と課題を医療者は共有する必要がある。多職種から見た骨・軟部腫瘍治療の現状と課題を明らかにすることで、骨・軟部腫瘍治療の質を向上させるための推進力にしたい。

教育研修講演

教育研修講演1
脂肪性腫瘍の病理診断

演者 福島 万奈 福井大学学術研究院医学系部門腫瘍病理学

教育研修講演2
骨軟部腫瘍医が躍動するOnco-orthopaedicsという新たな領域

演者 河野 博隆 帝京大学医学部整形外科学講座

教育研修講演3
骨軟部腫瘍に対する標準的薬物療法とがんゲノムプロファイリング検査

演者 今村 善宣 福井大学 がん診療推進センター/血液・腫瘍内科

教育研修講演4
骨軟部腫瘍手術の格致 その原則と創意工夫

演者 阿江 啓介 公益財団法人がん研究会 がん研有明病院

教育研修講演5
固形腫瘍を標的とするCAR-T療法開発

演者 宮原 慶裕 三重大学大学院医学系研究科個別化がん免疫治療学講座

教育研修講演6
重粒子線治療の現状とこれからの展望

演者 今井 礼子 研究開発法人量子科学技術研究開発機構QST病院

教育研修講演7
骨軟部腫瘍領域における保険診療の現状と課題

演者 森井 健司 杏林大学医学部整形外科学教室

教育研修講演8
四肢、骨軟部に発生する血管腫・血管奇形

演者 小関 道夫 岐阜大学医学部附属病院

教育研修講演9
21世紀を生きる若手整形外科医へ -骨軟部腫瘍をみると日本が見える-

演者 川井 章 国立がん研究センター中央病院骨軟部腫瘍・リハビリテーション科

教育研修講演10
がん治療における代謝支援を目指す栄養管理の重要性

演者 飯島 正平 大阪国際がんセンター 栄養腫瘍科

症例検討会

Bone Tumor Club